97歳の遺言
昨日、公正証書遺言のご相談があり、先方のお宅へお伺いしてきました。
お母様と同居する、ご長男からのご相談でした。
聞けば、御年、97歳。要介護4級。
これはちょっと厳しい・・・。
遺言を作成するには、当然ながら、「意思能力がある」事が条件です。
字が書けなくても構いません。公証人が書き写してくれますから。
耳が聞こえなくても構いません。筆記による伝達でも構いませんから。
でも、遺言を理解して遺言ができる能力は必要です。
具体的に言えば、自分にはどんな財産があって、自分が死んだら、どれを誰にあげたいのか。
その事によって、どんな影響が起こるのか。
これをきちんと理解して、公証人の前で口授できなければ、ダメなのです。
その日は、とりあえずそんな説明だけして帰ってきましたが、さきほどご長男からお電話がありました。
「母さんに話してみたが、なんのことだかわからない、の一点張り。とても理解できる状態ではないので、今回は諦めます。」
との事。
ここは無理に勧めるものでもないので、私もあっさり了解しました。
人それぞれですが、一般的に80歳後半から遺言を作成するのはかなりきついものがあると思います。
後の相続を考えると、ぜひ作成しておきたかったのですが、残念です。